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夜間における微生物検査の現状

○佐藤正一(千葉県救急医療センター)

【はじめに】近年多くの病院で患者サービスの向上を目的とし、24時間体制で検査業務を実施する施設が増加している。しかし、専門知識を必要とする検査業務を、日常検査として行っていない技師が対応せざるをえない場面が発生することも希ではない。今回、微生物検査分野における当センターの対応と他病院の比較について報告する。

【検査体制】当センターは一般病床数80床、ICU 10床、CCU 10床、熱傷センター2床をもつ小規模病院であり、開院以来24時間体制を取っている。検査業務は昼間帯と夜間帯の2交代制を取っており、月間の宿直回数は5から6回である。また、技師数は16名おり、業務については細分化されておらず、2部門に分けるのみで、技師はこの2部門の中で常にローテーションを行っている。

微生物検査の夜間体制は、尿と痰培養を実施しない事以外は全て対応している。ただし、肺炎などの場合は緊急対応を行っている。特に、リコール、胸水、腹水などの穿刺液や血液培養、便培養などは緊急を要するため、すみやかな培養と塗抹染色を実施し、迅速検査として肺炎球菌・髄膜炎菌・インフルエンザ菌・インフルエンザウイルスなどの抗原検出も行っている。

他院の状況を見ると、夜間に微生物検査の緊急対応している施設は少ない。救急病院であっても夜間対応は、提出された検体の分離培養程度に留まっており、重要なグラム染色・抗酸菌染色・各種抗原検査まで実施しているところは希である

【まとめ】微生物検査は感染症の診断・治療に欠かせない検査であるが、敗血症や髄膜炎、重症肺炎、食中毒など迅速な対応が不可欠な疾患に対して十分な検査が実施されていない現状である。今後、迅速検査体制が進むと思われるが、細菌検査における夜間業務の確立が必要と思われる。

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