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VITEK2による薬剤感受性検査の評価と血液培養迅速報告の検討

○山田剛博 綿引祥予 露木勇三 辻紀子 吉田隆 朝比奈講一 (株式会社サンリツ)

【目的】VITEK2(日本ビオメリュー株式会社)は細菌の増殖を経時的に測定することで、迅速な同定と薬剤感受性検査が測定できる分析機器である。今回、我々はこの機器を用いて黄色ブドウ球菌、肺炎球菌の耐性判定と血液培養ボトルからの直接同定・薬剤感受性検査の検討を実施した。

【材料と方法】臨床材料から分離された黄色ブドウ球菌82株、肺炎球菌77株に対し、NCCLS標準法に基づく微量液体希釈法またはEテストとVITEK2 AST-P525、AST-P518cardを用いた耐性菌判定の比較を行った。血液培養陽性と判定されたグラム陽性球菌9件、グラム陰性桿菌5件の計14件を検体とし、血液培養陽性ボトルから分離剤入り採血管に採取し、3,000rpm15分間遠心、集めた細菌を滅菌生理食塩水にて濁度McFarland0.5に調整し接種菌液とした。グラム陽性球菌にはVITEK2 GPC・AST-P525card、グラム陰性桿菌にはVITEK2 GNB・AST-N025cardにて測定を実施し、分離培地へ継代培養した。純培養集落からの同定・薬剤感受性検査結果と比較した。

【結果】薬剤感受性検査はほぼ10時間以内に結果が得られ、MRSA76株中一致76株、MSSA6株中一致6株であった。肺炎球菌に関しては77株中一致41株、minor error(どちらかI−SまたはR)36株を認めた。血液培養迅速報告に関して、同定菌種一致率は、グラム陽性球菌77.8%、グラム陰性桿菌60.0%であった。現在さらに検体を集め継続検討を実施している。

【考察】VITEK2による同定・薬剤感受性検査は従来法と比べ迅速に結果が得られ、臨床検査として有用であると考えられる。

連絡先 047-487-2631