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便潜血検査における擬似便の基礎的検討

○中島香織 中村和宏 加藤真裕美 伊瀬恵子 大澤進 野村文夫 (千葉大学医学部附属病院検査部)

【目的】 免疫学的便潜血検査においては、近年の自動分析装置の普及と共に精度管理も試みられてきている。精度管理試料にはHb溶液を用いる方法もあるが、便潜血検査全体を管理する目的では擬似便の方が適していると考えられる。今回我々は、日常及び外部精度管理試料としての擬似便の有用性について基礎的検討を行ったので報告する。

【方法】
1.試料:擬似便"ヘモコントロール"L,H(極東製薬)
2.試薬と機器:目視(定性)法はラテックス凝集法のOCヘモディアとイムノクロマト法のOCヘモキャッチ(栄研化学)、機器(定量)法はラテックス凝集比濁法のOCセンサーneo(栄研化学)、金コロイド比色法のヘモテクトNS-1000(アズウェル)を用いた。
3.検討内容
 1)同時再現性:各方法にて、10回採便後に連続測定した。
 2)採便手技の技師間差:技師2名(A,B)が各自10回採便し、測定した。
 3)保存安定性:擬似便を室温、冷蔵、冷凍保存し採便容器に毎日採便した場合と、採便後の容器を冷蔵した場合に分け、7日間測定した。

【結果】
1)同時再現性:目視法の判定はすべて一致した。機器法のCVは、患者便の場合20〜30%という報告があるが、本擬似便では、L:7.4〜14.1%、H:2.4〜16.5%であった。
2)採便手技の技師間差:目視法ではすべて一致し、機器法のCVは、A:2.4〜14.1%、B:8.5〜16.5%であった。
3)保存安定性:いずれの検査法でも、冷蔵で3日間、冷凍及び採便後の冷蔵保存で7日間はほぼ安定であった。

【まとめ】今回検討した擬似便は、各種採便容器において採便量が比較的一定であった。また、保存条件については、冷凍または採便後の冷蔵が適していた。以上より、本擬似便は精度管理物質としての性能を満たしており、外部精度管理試料としても有用と思われた。 
043-222-7171(6283)