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髄液に出現した低体重児の赤芽球

○三谷智恵子 鈴木淳一 遠藤康伸 田中雅美 (成田赤十字病院 検査部)

【はじめに】当検査室に提出された低体重児の髄液検査で、細胞数多数により算定困難のため、希釈して細胞数を算定し、細胞の種類をギムザ染色で分類した。サムソン液でリンパ球と算定した細胞のほとんどが赤芽球であった一例について報告する。

【家族暦】父44才、母36才、姉6才と4才で二人とも28週1000g弱で出生。自然流産2回。

【症例】平成14年8月15日、胎児仮死による緊急帝王切開にて29週3日1018gで出生した女児。胎生時より脳室内出血があり、頭蓋内圧を下げることと水頭症の進行を止めることを目的として腰椎穿刺施行。

【検査結果】8月29日に提出された第1回の髄液検査では細胞数2288/3で背景に多数の赤血球を認めた。蛋白363mg/dl、糖16mg/dl、Cl 114mEq/l、CRP 0.0mg/dl。計算盤上ではリンパ球多数と算定したが、念の為にギムザ染色で細胞種類を分類したところ、好中球1510(66%)、リンパ球46(2%)、組織球732(32%)であり、白血球100個あたり赤芽球が27個(618/2288総WBC)の割合で存在した。末梢血ではWBC 124×102/μl、RBC 378×10/μl、HGB 12.4g/dl、HCT 36.3%、PLT 7.1×104/μl、赤芽球1.0/w100、CRP 0.4mg/dlであった。(8月16日の末梢血はWBC 18×102/μl、RBC 290×10/μl、HGB 10.6g/dl、HCT 33.6%、PLT 8.3×10/μl、赤芽球1091.0/w100)

【まとめ】髄液検査において赤芽球はリンパ球に類似した形態を示す。早産による低体重児では末梢血中に赤芽球が多く出現した場合、脳室内出血においても認められることがある。また本症例のようにゴースト状の赤血球が多数認められ算定困難な場合等、ギムザ染色をすることにより、出現した細胞種類の多様性に対応しやすくなる。

連絡先0476-22-2311内線2282