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骨髄標本で上皮様結合を示したびまん性大細胞型Bリンパ腫の一例

○小寺美智子 清和富雄 大谷寿雄 武井とみ子 田中雅美 葛生吉彦(成田赤十字病院 検査部)脇田久 (同血液腫瘍科) 田丸淳一(埼玉医科大学総合医療センター病理部)三方一澤(東京セントラル・パソロジー・ラボラトリー)

【初めに】今回我々は、骨髄にて上皮様結合を呈し、転移性癌との鑑別を要した悪性リンパ腫の一例を経験したので報告する。

【症例】76歳女性。

【主訴】食欲不振、倦怠感、全身リンパ節腫脹を主訴に当院の血液腫瘍内科へ入院した。

【病歴】H12年7月に他院にて膀胱癌と診断され、経尿道的摘出術(TUR-Bt)を施行された。H14年1月7 日近医にて全身リンパ節腫脹と、CTにおいて肝、脾に多発性腫瘤を指摘され、H14年1月24日当院血液腫瘍内科に入院した。触診では頚部より鼠径部まで弾性軟の腫大リンパ節を触知した。悪性リンパ腫が疑われたが、急速に全身状態悪化し、H14年1月31日永眠された。

【検査値】血算は貧血と血小板減少がみられ、 末血ではAt-Lyが2.0%見られた。 骨髄像では腫細胞が、11.8% 認められた。生化学ではLDH 1015IU/L と高値を示した。

【細胞像】初診時骨髄Giemsa染色標本では上皮様結合を示す細胞集塊が多数認められた。また、PAS染色は少数の細胞に微細顆粒状に陽性を示した。

【まとめ】今回の症例は、臨床的にはMLを示したにもかかわらず、細胞形態において個在細胞も見られたが、100個以上の大集塊や50個程度の中集塊が重積して多数認めることから、癌の骨髄転移を考えた。MLにおいても上皮様接合を示す細胞も出現するので、臨床診断をも考慮して考えなければならない症例であった。

連絡先0476‐22‐2311(2280)