戻る

赤芽球系の表面マーカーのみ陽性を示す赤白血病の一亜型

○ 五十嵐正子 浪川薫 岡澤恵美子 脇田智恵子 伊藤 和男 近藤 福雄(社会保険船橋中央病院検査部) 石塚 保弘 深沢元晴 (同 血液内科)

【はじめに】近年急性骨髄性白血病の病型は細胞形態、細胞化学染色所見、細胞表面抗原、染色体異常の所見などの違いにより診断されているが原則的に白血病細胞の形態によるFAB分類に基づき行われる。今回は、FAB分類のM6と一致しない赤白血病を経験したので報告する。

【症例】60歳、男性、微熱があり近医を受診し汎血球減少を認め、血液疾患を疑われ当院へ入院となる。既往歴:1992年高血圧1996年胃癌のため2/3を切除する。

【検査所見】末梢血:WBC 2,600/μl、RBC 156万/μl、Hb 5.2g/dl、Plt 1.8万/μl、Blast4%、Myelo 6%、Meta 6%、Stab 8%、Seg 35%、Eo 1%、Mo 4%、Lym 35%、A-lym1%骨髄:NCC 27.4万/μl、Mek 90/μl、M:E 0.1Myeloblast4.3%、大型、NC比大、細胞質が好塩基性で核小体の目立つ異型細胞を78.3%認める。POX(−) ES(−) PAS(+) 細胞表面マーカーGP-A 97.5%、生化学: LDH 10,026U/l CRP 0.83r/dl、

【まとめ】骨髄検査では骨髄芽球が4.3%でNECの30%未満であった。異型細胞の細胞表面マーカーはGP-Aが陽性で、その他のM系 、T系、L系のマーカーは陰性であった。FAB分類上はM6の診断基準は満たさなかったが赤芽球系の表面マーカーのみ陽性を示す赤白血病の一亜型と考えられた。

047(433)2111 内線2602