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AMLにおける好中球クロマチン構造変化の検討
【目的】AML with mulutilineage dysplasia
WHO分類に新設された多血球系に異形成を認めるAMLである。好中球の異形成はこれまで偽ペルゲル核異常と細胞質の脱顆粒で判定されてきたが、最近朝長らはMDSの異形成判断に好中球をクロマチン構造の変化から3段階に分けて定量的に用いることを発表した。今回我々はこれがAML
with mulutilineage dysplasiaに応用できないか検討したので報告する。
【対象】AML30症例(M0 2例 M1 5例 M2 8例 M3 3例 M4 5例 M5 6例 M6 1例)
【方法】骨髄中の好中球を100カウントして朝長らの分類法に従いクロマチンの凝集が軽度のものをT型、クロマチンの凝集が進み、中程度のブロック化、濃染を示すが、核の辺縁は滑らかなU型、さらにクロマチンのブロック化が進み、核の辺縁がぎざぎざと不正になるものをV型として分類した。その他の三系統の血球の異形成の判定は長崎大学の診断基準を用いた。
【結果】好中球のクロマチンによる分類の平均値と最大値、最小値はそれぞれT型 74% 99% 14% U型 20% 75% 1% V型 5% 74% 0%であった。T型<U型+V型であった例は3例(10% M1 M2 M5)。また三系統の血球全てに異形成がみられたのは4例(13%)であった。巨核球がほとんど認められず判定不能例は11例あった。T型<U型+V型の例では3例とも3系統の血球に異形成がみられた。
【まとめ】検討症例数は少ないが、クロマチン構造が異常な好中球が優位な場合は全て3系統の血球に異形成を認めた。AML with mulutilineage dysplasiaの診断に好中球のクロマチン構造の変化を観察は有用な情報を提供してくれると思われた。
0479−63−8111