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脈波伝播速度と動脈硬化関連臨床化学データとの比較

○竹田祥子 多田美和 高橋章予 浅野美紀 山本修一 谷 明子 真々田賢司 大澤 進 野村文夫**
千葉大学医学部附属病院検査部 **千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学

【目的】脈波伝播速度(PWV)と足関節/上腕血圧指数(ABI)検査は閉塞性動脈硬化症の早期発見・診断をサポートし、動脈硬化の総合評価が行える検査法として最近注目されている。今回我々は、PWV値と動脈硬化に関連する化学検査データの相関性や疾患別の比較・検討を行い若干の知見を得たので報告する。

【対象および方法】対象は、平成13年12月から平成14年11月までに当院第二内科を受診し、PWV/ABI検査を実施した107例(男性45名、女性62名、男女平均年齢59.1歳)を用いた。PWV/ABI検査の測定機器は、form PWV/ABI(日本コーリン社製)を用い、また化学検査データはPWV/ABI検査と同時期に当院の日常検査で測定したT-CHO,HDL-C,LDL-C,TG,UA,HbA1cとした。

【結果】PWV値と化学検査データとの関係は、今回検討したすべての項目とも相関関係を認めなかった。また、疾患別に比較すると糖尿病で40、50歳代では、罹患者(平均PWV値1463cm/sec)・非罹患者(1514cm/sec)と有意差を認めなかったが、60歳以上は両者(1556cm/secと1779cm/sec)で有意差を認めた。しかし、その他の疾患では有意差を認めなかった。

【考察およびまとめ】PWV値と化学検査データが相関を認めなかった原因として、薬剤による治療の影響や他の危険因子の関連が考えられた。また疾患群別に比較すると、糖尿病は高年齢になるほど非罹患患者とのPWV値に差が現れることから罹患年数が関与していることが示唆された。

(連絡先)043-226-2330