千臨技会誌 2004 No.3 通巻92 |
会長挨拶 | 蒔いたものしか刈り取ることはできない | 社団法人千葉県臨床衛生検査技師会 会長 才 藤 純 一 |
細胞レベルの病理学 |
千葉大学大学院医学研究院腫瘍病理学 |
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輸血関連業務の24時間一元管理体制構築の経験 |
千葉市立青葉病院 臨床検査科 |
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「日本医療機能評価機構の |
順天堂大学浦安病院 総務課企画管理 |
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「性行為感染症(STD)・生活習慣病の撲滅キャンペーン」の開催 |
社団法人千葉県臨床衛生検査技師会 |
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「性行為感染症(STD)・生活習慣病撲滅キャンペーン」に参加して |
株式会社サンリツ |
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千葉県がんセンター |
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蒔いたものしか刈り取ることはできない |
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社団法人千葉県臨床衛生検査技師会 |
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細胞レベルの病理学 |
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千葉大学大学院医学研究院腫瘍病理学 梅 宮 敏 文 |
【はじめに】 |
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ホジキンリンパ腫Hodgkin lymphoma(HL)は長い間、炎症なのか腫瘍なのかという論争が交されていた。腫瘍という確実な証拠が示されたのはごく最近のことである。免疫組織染色の普及や様々な手法を使っての検索が行われていたが、決定的な腫瘍としての証拠を掴んだのは高感度なPCR法の確立とともに個々の細胞の遺伝子学的検索によって、ホジキン病の腫瘍細胞と考えられていたHodgkin/Reed-Sternberg(H/RS)細胞がB細胞のクローナルな増殖であることが証明された。2001年に刊行されたWHO分類では本疾患をホジキン病からホジキンリンパ腫Hodgkin lymphomaと呼ぶようになった。 |
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HLの組織像は様々な炎症性背景に数の少ない、大型の特異細胞が散見されるのが基本像である。新WHO分類では典型的なHRS細胞の出現するclassical HL(CHL)とpopcorn細胞の出現するnodular lymphocyte predominance HL(NLPHL)とに大別され、CHLはさらにlymphocyte rich (LR), mixed cellularity (MC),nodular sclerosis (NS),lymphocyte depletion(LD)の4型に細分される。H/RS細胞は小リンパ球より大きい光輝性核小体がみられ、その周りに明庭を有する大きな核をもつ細胞で、単核のものをH(Hodgkin)細胞、2核以上のものをRS(Reed-Sternberg)細胞という(図1,2,3)。多分葉の核をもつ細胞をpopcorn細胞と言う(図4)。 |
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1. CHL(Classical Hodgkin lymphoma)
2.NLPHL(nodular lymphocytic predominance
Hodgkin lymphoma)
3.ホジキンリンパ腫の免疫表現型(図5)
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輸血関連業務の24時間一元管理体制構築の経験 |
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千葉市立青葉病院 臨床検査科 矢 萩 直 樹 |
【はじめに】 |
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日本輸血学会が実施したABO不適合輸血の実態調査1)では、1995年1月から1999年12月までの5年間に578施設のうち115施設(19.9%)で計166件のABO不適合輸血の経験があり、そのうち100件(60.2%)が時間外に発生し、時間外でかつ緊急輸血は61件(36.7%)を占めている。不適合輸血166件のうち18件(10.2%)に検査技師が関与しており、2件は血液バッグの取り違え、9件が血液型判定ミスであり、ほぼ全例時間外または緊急輸血であった。また、検査技師ではないが1件(0.6%)血液センターへの発注ミスという項目もあり、これから24時間一元管理をしようとしている我々にとっては不安の増すような調査結果であった。 |
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移転前の旧千葉市立病院当時より時間外業務は検査技師1名で行われていた。1980年度以前は待機制で1980年度以降は日当直が行われており、輸血検査の24時間体制はとられていた。しかし、血液製剤の保管や発注は薬剤部、交差適合試験や血液型検査など輸血検査は臨床検査科で行う二元管理体制であり効率が良いとはいえなかった。夜間休日は検査技師が一人しかいないために、検査技師による血液型のダブルチェックが行えず当直医師に確認を依頼していたが、多忙な当直医を検査室に呼ばねばならず、医師の負担になっていた。また、不慣れな血液型検査を行うことはかえって危険であり、形式的なものになってしまっていた。薬剤部は夜間当直を行っていなかったため、当直師長が代行して製剤の発注、払い出しなどを行っており、放射線照射などの業務も新たに増加し、未照射血を輸血する事故が起きた。 |
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1.検査件数 |
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24時間一元管理体制を構築するに当たり、原則としたのは血液型検査と輸血の依頼に対してABO式血液型を間違えないことであった。そのためには、コンピュターシステムによる管理(電子カルテ、患者認証システム、輸血システム)と全自動輸血検査装置(AutoVue)の導入は必須であった。それを24時間同一の運用で行うため、頻回輸血症例、ABOミスマッチ造血幹細胞移植症例がある当院の特殊性、時間外のことを考え@赤血球製剤のオーダーに対して患者血液型検査と交差適合試験をAutoVueでおこない、適合血を供給する。A新鮮凍結血漿、濃厚血小板は、血液型検査を2回以上行っていればコンピュータークロスマッチで適合血を供給する。以上の2パターンのみを想定しマニュアルも単一化しようと試みた。しかし、実際に運用が始まるといろいろなパターンに遭遇し、担当者も日当直者も戸惑った。操作に不慣れな上に、様々な問い合わせや時間外の緊急手術でも当初想定していなかったT&Sの依頼があり、技師の新たな理解が必要となった。また、緊急輸血の依頼に対し緊急度に応じた検査が実施できていないため、臨床側から「遅い」と指摘を受けることが度々あり、問題点としてあげられた。緊急度に応じ3段階にわけ試験管法を行う方法をマニュアルに掲載し輸血療法委員会に諮り周知したが、試験管法を行う機会が減少したので以前のレベルを維持できるか危惧される。 |
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24時間一元管理体制構築にあたり、従来の生化学検査などの日当直業務に製剤管理業務が加わったが、検査技師1名の体制のまま輸血検査および管理業務の24時間一元管理体制を開始した。2003年度の血液製剤使用量は赤血球MAP約4300単位、FFP約6400単位、PC約17000単位、自己血約160単位であり、千葉県内の医療機関の中でも十指に入る使用量であった。日当直の業務量が大幅に増加したために、導入当初は否定的な意見もあったが、大きなトラブルもなく現在に至っている。@24時間同一の運用が行うことが出来るAC/T比の改善など一元化の成果が現れている部分もあるが、まだ多くの課題が残されている。血液製剤の保管場所が変わっただけに終わらないように、今後も引き続き改善を行い、より安全な輸血医療に貢献する24時間一元管理体制の構築を行わなければならない。 |
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1)柴田洋一ほか:ABO型不適合輸血の実態報告.日本輸血学会雑誌
46(6):545-564,2000 |
「日本医療機能評価機構の病院機能評価に求めるものは?」 |
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順天堂大学浦安病院 総務課企画管理 |
【はじめに】 |
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財団法人 日本医療機能評価機構(Japan Council for Quality
Health Care:以下機構と略す)が病院の医療提供体制に求める機能としては、以下のものがある。
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病院が受審申込みをしてから、認定証の発行までの流れについて説明します。
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評価項目と評価は以下の分類にて自己点検および訪問審査が実施される。 |
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日本医療評価機構の基本的な病院機能評価の考え方を以下のように取り決めている。 |
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新評価体系v4.0では以下の項目を重視している。 |
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さらに、診療情報を統計学的に解析し、臨床指標(CI:Clinical
Indicator)を作成し、改善に向けての方向性を示している。 |
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臨床検査技師も患者のケアプロセスに関わる一員であり、在院日数の短縮が推進されている現状の中でいかに効率よく、外来・入院・在宅の検査が他部署との連携の中で組み込まれているかが重要である。以下に、ケアプロセス評価項目を列記する。 |
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病院管理者・幹部のリーダーシップが病院機能評価では重要視されている。病院の理念・基本方針に則して各担当部署の目標や理念・年度計画が作成されていることが重要である。リーダーシップを発揮するためには、病院職員の協力と理解が重要である。 |
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実際に機能評価を受審した施設からのアンケート調査によると、認定効果について多い順に以下の項目が挙げられている。 |
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病院評価での基本的な考え方のポイントと、留保される施設の問題点について列記する。 |
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病院機能評価においての検査室対応としては、マニュアルの整備に加え日々の機械の保守点検チェックリストの整備が重要である。さらに重要ポイントを以下に記載する。 |
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最後に、病院機能評価受審は、単に検査室の一員として参加するのでは無く、チーム医療の一員であるという観念から、患者に対していかに質が良く、満足が出来る医療を提供できるかということを基本理念として病院職員が一丸となって改善に取り組むことが重要と考える。 |
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「性行為感染症(STD)・生活習慣病の撲滅 |
社団法人千葉県臨床衛生検査技師会 駒 木 吉 伸 |
「医学検査デー」はIFBLS(国際医学検査技師協会)International
Federation of Biomedical Laboratory
Scienceが1996年オスロで開催された第22回国際学会で毎年4月15日を「世界医学検査デー」と決定し、1997年から活動を開始した。 |
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「性行為感染症(STD)・生活習慣病撲滅 |
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株式会社サンリツ 高 木 慶 子 |
【はじめに】 |
今回、日臨技事業の「医学検査デー」のキャンペーンとして関甲信地区技師会が委託を受け、「STD・生活習慣病の撲滅」のキャラバン隊が組織されました。その中で千臨技としては千葉県の後援をいただき、4月11日に千葉駅、4月25日に舞浜駅でキャンペーン活動を行うこととなり、私はその手伝いをさせていただきました。初めはキャンペーンの手伝いなんて面倒だと思っていましたが、千葉駅に着いてみるとすでにお揃いのジャンパーを着たキャラバン隊が、のぼりを立てたりアンケート用紙を準備したりといそいそと動きまわっていました。その様子を見ると私も俄然やる気がでてきました。 |
<臨床検査部> 生化学・血清検査科は、検体自動分注機;APS-3000(アロカ)により分注した検体を7600‐DP(日立)で測定しています。また、免疫検査部門ではARCHITECT−i2000(アボット)の導入により、多くの腫瘍マ−カ−を外注検査から院内検査に移行し、迅速報告による患者サービスに貢献しています。また、千臨技より検査値統一化のための基幹病院の指定を受け、チリトロールのデ−タ発信を行っているとの事でした。 また、毎月、全医師向けに院内輸血情報を発行しており、手術に関しては約70%がT&Sで対応していました。夜間緊急輸血に対しては技師への緊急連絡網の他、できる限り0型MAP・AB型FFPで対応するそうです。平成12年からは全ての血漿分画製剤(アルブミン・グロブリン製剤等)の管理を薬剤部より移管し、同年から自己フィブリン糊の作成も行っているとの事です。また、日本でも数少ない輸血認定医研修指定施設、認定輸血検査技師制度研修指定施設として登録されており、毎年、研修医・研修生が勉強に来ています。 <臨床病理部> |