設問 4

社団法人千葉県臨床衛生検査技師会 一般検査研究班

35歳、男性。 顔面・四肢のむくみにて、外来を受診したときに見られた尿沈渣成分である。矢印で示す成分を判定して下さい。

尿定性検査成績:PH6.0 蛋白(3+) 糖(−) 潜血(−)

血液化学検査成績:TP4.5g/dl(Alb2.0g/dl) T-CHO550mg/dl TG200mg/dl UN18mg/dl Cre1.1mg/dl 

設問 4-1 無染色400倍

設問 4-2 S染色400倍

正解 脂肪円柱

解説 ネフローゼ症候群と診断された患者尿より排泄された円柱である。『尿沈渣検査法2000』によると”基質内に卵円形脂肪体が1個以上および脂肪顆粒が3個以上封入されているものを脂肪円柱とする”より本例は卵円形脂肪体が含まれているので脂肪円柱と判断した。
脂肪顆粒の証明はS染色では染色されないためSudanIII(IV)染色や偏光顕微鏡下観察が用いられる。解説4-1に示すようにSudanIII(IV)染色では、コレステロールエステル・脂肪酸は黄赤色、コレステロールは黄赤橙色、中性脂肪は赤色、燐脂質・糖脂質は淡赤色に染色される。また偏光顕微鏡下では、コレステロールエステル・燐脂質はMaltese crossと呼ばれる重屈折性偏光像(解説4-2)として観察される。脂肪円柱は、ネフローゼ症候群や糖尿病性腎症など高蛋白尿を伴なう腎疾患で高率に認められる。


解説 4-1 スダンIII染色400倍 解説 4-2 偏光顕微鏡像400倍

水野 由喜子(帝京大学附属市原病院)

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