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症例4 泌尿器解答

解答 上皮内癌(CIS)



マクロ写真


HE染色
対物 20倍


HE染色
対物 40倍

解説

臨床経過
2001.5
血尿にて外来受診。経過観察中、膀胱洗浄液細胞診にてclass X、上皮内癌を疑う所見であった(今回供覧)。 膀胱鏡にて三角部に発赤病変を認めた為、生検を施行。病理組織学的に移行上皮癌と診断された。           

2001.8
膀胱・前立腺全摘出術施行。組織学的検索で腫瘍は膀胱の広範囲に認められた。TCC G3,pTis (今回供覧)

膀胱洗浄液細胞所見
軽度血性で壊死は見られずきれいな背景だが、N/C比上昇やクロマチン増量したdysplastic cellを認める。それらと共に多辺形で大型の細胞が小集塊〜孤立性に見られ、それらは核腫大・核型不整・クロマチン増量・著明な核小体の出現を伴い、TCC Grade 3の強い異型性を示す。またpair cellなどのPaget様病変を示唆する細胞集塊も認められる。上皮内癌として矛盾しない所見である。

肉眼所見
右膀胱三角部を中心として粘膜面にひきつれや出血斑を認めるが、明らかな腫瘤・潰瘍の形成は見られない。

組織所見
膀胱粘膜内には高度の異型性を示す腫瘍細胞が非乳頭状・高密度・全層性に増殖している。基底膜は保持されていて粘膜下組織への浸潤は見られない。腫瘍細胞は核の大小不同・クロマチン増量・核小体を有し、核分裂像も散見される。正常と考えられる部分は右尿管を含め僅かであった。

参考文献

松嵜理、小山芳徳. 細胞診 基礎と応用 10.尿. 病理と臨床 東京/文光堂 2002.vol.20:臨時増刊号;242-251

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