設問 2

社団法人千葉県臨床衛生検査技師会 一般検査研究班

65歳 男性、 黄疸症状のため内科外来受診時に認められた成分です。
矢印で示した成分を判定して下さい。
尿定性検査成績
  PH6.0 蛋白(1+) 糖(2+) 潜血(−) ウロビリノ−ゲン(1+) ビリルビン(1+)
  酢酸・塩酸・加温で不溶、水酸化カリウム・クロロホルム・アセトン可溶
生化学検査成績
  AST:50U/l、ALT:60U/l、r-GTP:260U/l、T-Bil:5.5mg/dl、D-Bil:4.0mg/dl、
  ALP:600U/l、LDH:155U/l、Cre:0.85mg/dl

無染色 400倍 Sternheimer染色 400倍


正解:ビリルビン結晶

解説: ビリルビン結晶は、PHが酸性から中性尿で認められ、色調は黄褐色、形状はこの症例に見られるような針状や短針の束状・顆粒状を示す。尿の外観は、黄褐色から褐色を呈し、尿中ビリルビンが陽性であることが多い。ビリルビン結晶は、水酸化カリウム・クロロホルム・アセトンで溶解するが類似した薬剤結晶であるダンスロン(ソルベンの主成分)も水酸化カリウム(赤色に溶解)・クロロホルムで溶解する。鑑別のため生化学的性状やビリルビン定性検査の確認法として用いられている酸化法(ハリソン法・グメリン法・ロジン法)やジアゾ法(イクトテスト)で確認する必要がある。ジアゾ法は、酸化法に比べ特異性が高く偽陽性反応が比較的少ない。尿沈渣は、ビリルビン色素により黄染された細胞を認め、ステルンハイマ−染色法では、ビリルビン色素が重なるため注意が必要である。
 尿中ビリルビンは、老化した赤血球より生じたヘモグロビンが、細網内皮系を経て肝臓でグルクロン酸抱合を受け抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)となり、胆道を経て十二指腸に通常排泄されるが、閉塞性黄疸・肝細胞性黄疸などにより血中直接ビリルビン濃度がおおよそ2.0mg/dl以上になると尿中にビリルビンが排泄される。

解説:水野 由喜子(東京歯科大学市川総合病院MBCラボ)

解答集計 (参加94施設) 施設数
ビリルビン結晶 93 98.9
サルファ剤結晶 1 1.1


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