同定問題　解答

問題解答解説

1 3: 粘液性腺癌
（内頸部型）重積性と配列の乱れのある柵状配列集塊である。核偏在性を示す高～中円柱状の細胞で、細胞質に粘液を有する。核は大小不同があり、クロマチンが細顆粒状に増量し、核縁の肥厚を認める。小型の核小体を有している。

2 4: ヘルペス感染細胞 Herpes simplex virus には口内炎などをおこすⅠ型と性器感染するⅡ型がある。核は軽度に腫大し、単核、多核で出現する。核縁は肥厚し、核内構造は無構造、すりガラス状を呈する。時に核内封入体もみられる。

3 3: サイトメガロ
ウイルス感染細胞周囲の炎症細胞に比べて大型の細胞が出現している。核縁は明瞭、核内はすりガラス状を呈し、封入体と核膜との間に明暈（halo）がみられるCowdry A型の核内封入体を認める。

4 5: 組織球リンパ球と類上皮様細胞を背景に黒茶色顆粒（炭粉）を細胞質に伴う1～2核細胞（組織球）をみる。核は類円から卵円形、核形不整は認めない。以上の所見から過誤腫、腺癌、悪性リンパ腫は否定的です。悪性黒色腫にしてはメラニン顆粒（黒褐色）、核形不整、著明な核小体、Apitz小体などがみられない。

5 4: 腺癌平面的な集塊を形成する異型細胞を認める。細胞質には粘液空胞がみられ、核は偏在している。背景の組織球の核と比較して異型細胞の核は大型で、核の大小不同、核形不整を認め、また核小体の腫大がみられる。

6 3: 乳頭癌平面的な細胞集塊が出現している。核は円～楕円形で、軽度の大小不同を示し、一部の核で線状の溝や核内細胞質封入体がみられる。クロマチンは細顆粒状で増量し、小型の核小体もみられる。
平面的な集塊においても、構成している細胞の核所見を詳細に観察すべきである。

7 3: 腺癌上皮結合を示す平面的な異型細胞集塊がみられる。核は偏在傾向を示し、核の大小不同、切れ込みなど核形不整がみられN/C比は高い。クロマチンは細顆粒状で核小体も認める。

8 3: 良性異型細胞乳頭状変化を示す細胞集塊として出現し辺縁では柵状配列、中央部は平面的配列を示している。核は軽度に肥大し、1～2個の小型核小体を有するが異型性に乏しい。胆嚢炎や胆石症の胆汁中にはしばしば見られる細胞で、組織学的には再生性変化を伴う良性異型細胞に相当する。

9 3: 星細胞腫線維性突起を有する異型神経膠細胞がみられる。核異型や大小不同性は比較的軽度で、WHO gradeⅠ相当の膠細胞系腫瘍の所見である。年齢・発生部位も考慮すると、正解は3番の星細胞腫である。

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問題	解答	解説
1	3: 粘液性腺癌（内頸部型）	重積性と配列の乱れのある柵状配列集塊である。核偏在性を示す高～中円柱状の細胞で、細胞質に粘液を有する。核は大小不同があり、クロマチンが細顆粒状に増量し、核縁の肥厚を認める。小型の核小体を有している。
2	4: ヘルペス感染細胞	Herpes simplex virus には口内炎などをおこすⅠ型と性器感染するⅡ型がある。核は軽度に腫大し、単核、多核で出現する。核縁は肥厚し、核内構造は無構造、すりガラス状を呈する。時に核内封入体もみられる。
3	3: サイトメガロウイルス感染細胞	周囲の炎症細胞に比べて大型の細胞が出現している。核縁は明瞭、核内はすりガラス状を呈し、封入体と核膜との間に明暈（halo）がみられるCowdry A型の核内封入体を認める。
4	5: 組織球	リンパ球と類上皮様細胞を背景に黒茶色顆粒（炭粉）を細胞質に伴う1～2核細胞（組織球）をみる。核は類円から卵円形、核形不整は認めない。以上の所見から過誤腫、腺癌、悪性リンパ腫は否定的です。悪性黒色腫にしてはメラニン顆粒（黒褐色）、核形不整、著明な核小体、Apitz小体などがみられない。
5	4: 腺癌	平面的な集塊を形成する異型細胞を認める。細胞質には粘液空胞がみられ、核は偏在している。背景の組織球の核と比較して異型細胞の核は大型で、核の大小不同、核形不整を認め、また核小体の腫大がみられる。
6	3: 乳頭癌	平面的な細胞集塊が出現している。核は円～楕円形で、軽度の大小不同を示し、一部の核で線状の溝や核内細胞質封入体がみられる。クロマチンは細顆粒状で増量し、小型の核小体もみられる。平面的な集塊においても、構成している細胞の核所見を詳細に観察すべきである。
7	3: 腺癌	上皮結合を示す平面的な異型細胞集塊がみられる。核は偏在傾向を示し、核の大小不同、切れ込みなど核形不整がみられN/C比は高い。クロマチンは細顆粒状で核小体も認める。
8	3: 良性異型細胞	乳頭状変化を示す細胞集塊として出現し辺縁では柵状配列、中央部は平面的配列を示している。核は軽度に肥大し、1～2個の小型核小体を有するが異型性に乏しい。胆嚢炎や胆石症の胆汁中にはしばしば見られる細胞で、組織学的には再生性変化を伴う良性異型細胞に相当する。
9	3: 星細胞腫	線維性突起を有する異型神経膠細胞がみられる。核異型や大小不同性は比較的軽度で、WHO gradeⅠ相当の膠細胞系腫瘍の所見である。年齢・発生部位も考慮すると、正解は3番の星細胞腫である。