設問 5 |
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社団法人千葉県臨床検査技師会 一般検査研究班 | ||
74歳、男性。頻尿を主訴に泌尿器科外来を受診した患者尿である。 矢印で示す成分を判定してください。 尿定性検査:pH6.5 蛋白(−) 糖(−) 潜血(−) |
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設問 5-1 無染色400倍 | 設問 5-2 Sternheimer染色400倍 | |
正解:異型細胞(移行上皮癌細胞疑い) | ||
解説:〈無染色〉大型の細胞が孤在性に出現している。細胞質表面構造がザラザラしており、移行上皮系と考えられる。また、核の増大と明瞭な核小体を認める。〈S染色〉中央2個の細胞は同系であり、大小不同を示し、N/C比が高く、クロマチンは増量し、核縁の肥厚を呈している。更に大型の核小体を有している。以上の所見より悪性が示唆され、異型細胞(移行上皮癌細胞疑い)と判定した。この症例は、病理組織学的に膀胱上皮内癌と診断された。膀胱の上皮内癌は癌細胞が粘膜を這って進展するため、刺激により頻尿の症状が出ることがあるといわれている。また、比較的稀ではあるが今回のように尿定性検査で潜血(−)ということもあるので、鏡検時には細心の注意が必要である。
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解説:西周 裕晃(公立長生病院) | ||
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