症例問題・解答

解答
4 精上皮腫
<細胞像>
 血性・壊死様物質と伴に、淡明な細胞質を有する、N/C比のやや大きな細胞が出現。結合性は弱く、散在性。核は円形ないし類円形で、小型の核小体が目立つ。背景には小型の成熟リンパ球がみられる。PAS反応は細胞質がびまん性・強陽性に染まる。
<病理組織診断>
Seminoma of the right testis,orchiectomy.
<病理組織所見>
 長径6cmの充実性腫瘍を認める。組織学的には、微小な核小体を伴う円形核と、淡明な細胞質を有する腫瘍細胞が増殖した腫瘍である。腫瘍細胞の形態像は比較的均一である。腫瘍細胞はシート状に配列しており、軽度のリンパ球浸潤を伴う部が認められる。腫瘍により既存の細精管組識はみられなくなっている。
 腫瘍細胞は、免疫組織化学的に、PLAP(+),LCA(-),AFP(-),hCG(-)の所見を呈しており、Seminomaと診断する。腫瘍は精巣内に限局しており、精巣上体、精管への腫瘍の進展はみられない。他のgerm cell tumorの成分は認められない。
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固定前
固定後
HE染色  弱拡大
HE染色  強拡大
PLAP
LCA
AFP
hCG
<鑑別診断>
 睾丸腫瘍の90%以上を占める胚細胞腫瘍のうち単一組織型は、セミノーマ、精母細胞性セミノーマ、胎児性癌、卵黄嚢腫瘍、絨毛性腫瘍、奇形腫、多胎芽腫に分類される。胎児性癌、絨毛癌は多形成を示す核を有する大型細胞が出現、奇形腫は三胚葉成分の出現、リンパ球はPAS反応陰性で除外できる。しかしこれらの腫瘍が混在する複合組織型もしばしば認められるので注意を要する。

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