1) 測定試料の準備:
望ましい患者試料の濃度分布にある患者検体を,50例以上用意する.データはX軸・Y軸共に連続性があるようにし,空白欄がない事が望ましい.
(濃度範囲を指定して相関関係を見たい場合はデータを並べ替えてから作図範囲の指定)
2) 試料の測定
比較対照法と被検法が安定な状態にあるとき試料測定を行う。なお、どちらかの方法に日間変動が存在する場合、患者検体は1日で測定せず,比較対照法と被検法の両法で毎日5〜10例ずつ,5日以上測定する事が望ましい.
3) 結果を「相関図シート」に入力
(相関図は新しいシートに作成される.)
(濃度範囲を指定して相関関係を見たい場合はデータを並べ替えてから作図範囲の指定)
4) プロット図の作成
複数個の相関関係を見るために,グラフ化する範囲を指定し,相関関係を見る用に設計した.
なお、プロット図を作製する際,データの並べ替え(データ専用シートを用意しそのシート上で[データ][並べ替え])をしておき,目的のデータ範囲について(低濃度,中濃度,高濃度別など)作図範囲を指定して相関図を作成する方法もある.[相関分析]ボタンを押すと、図のようなダイアログボックスが表示されるので、作図範囲、タイトル、軸名、差プロットのを作製する際の回帰式の種類を選択する。[OK]ボタンによって新規シートが自動的に作製されグラフ化される(データ数が多いと時間を要する場合がある)。このとき作図範囲はExcel上の「行列番号」を入力する。
なお関係式を利用する場合に、X軸とY軸のバラツキの比がわかっていれば、誤差分散比「λ」を考慮した関係式が出力される。わからないまたはほぼ同等と考えられる場合には、「1」を入力する。
誤差分散比 λ は以下の方法によって求める。
各方法について同一試料を用いた測定値の分散値(SDを2乗してもよい)を下式に当てはめ算出する。
誤差分散比 λ = X軸の分散 / Y軸の分散
5) 結果の解釈
グラフから測定法の直線性を観察し,直線性から外れたときはその原因を追究する.
残差プロット図では,全濃度にわたってばらつきの一定性を確認するとともに,極端に乖離する測定値は外れ値であるかどうかを検討する.外れ値の検出について
「相対的な差の平均値 dB'」 がグラフ上部に表示される.その値の4倍以上ある測定値はその原因を究明し外れ値の時は除外する.(どの値か見る場合は,差の残差グラフ上にプロットされた点にマウスを合わせると数値が表示される)比例系統誤差・一定系統誤差の検定は、ブートストラップ法による傾きbと切片aの信頼区間(95%)から判断する。信頼区間内に傾き・切片が入っていれば、比較実験の結果が良好であった事を示すが、入らなかった場合は、「医学的意思決定濃度」の5%を限界として判断する.
注意:
ブートストラップ法による信頼区間の計算は500試行を行うため計算に時間を必要とするので、信頼区間を求めたい場合のみブートストラップ法チェックボックスをONにする)[相関分析ボタン]を押す際にはシート上のどこかのセルが選択されていること
新シートを何枚も作製すると「メモリー不足」となる事があるが,「EXCEL」を一旦終了することによって再び分析可能となる.
なお、この相関図シートは「比較対照法との比較実験による方法」の検討以外に、一般的な相関分析・回帰分析も行えるので利用していただきたい。