設問 1 |
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社団法人千葉県臨床衛生検査技師会 一般検査研究班
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正解 | 尿細管上皮細胞(線維型) |
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解説 | 設問の細胞は、円柱に封入あるいは、付着しているので尿細管上皮細胞と同定された。このような尿細管上皮細胞は、扁平上皮癌細胞との鑑別が必要となるが、S染色では核は小さくクロマチン増量はみられないことから悪性は否定される。線維状の尿細管上皮細胞は、細胞質は薄く均質状で、辺縁構造は不明瞭であることが多い。 尿細管上皮細胞は、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、腎硬化症、ループス腎炎などの腎実質疾患例に高率に認められる。また、腎疾患以外でも腎虚血または腎血漿流量減少をきたす疾患や、種々の化学薬品および薬物などによって腎障害やアレルギー反応を起こした場合にも、高率に認められる。このように尿細管上皮細胞は種々の疾患で認められるが、健常人にも少数出現することがある。 尿細管上皮細胞は部位により機能が異なることと関連して多彩な形態を呈する。また、重篤な慢性腎不全や抗癌剤、抗生剤などの薬剤、ウィルスの影響などで高度の腎、尿細管障害をおこした場合、本例のような特殊な形態の尿細管上皮細胞を認めることがある。 |
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渡邊 一博(国保松戸市立病院) | ||
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