設問 3

社団法人千葉県臨床衛生検査技師会 一般検査研究班

62歳 男性、膀胱癌にて膀胱全摘術施行後、1年目の検診時に提出された尿である。
矢印で示す成分を判定してください。

尿定性検査:pH7.0 蛋白(1+) 糖(−) 潜血(1+) 白血球(−)

設問 3-1 無染色400倍

設問 3-2 Sternheimer400倍

正解:細胞質内封入体細胞(腸上皮細胞由来)

解説:写真に示した細胞は、膀胱全摘術と同時に行われた尿路変向術により、回腸の一部を利用して作られた導管及び代用膀胱の中で円柱上皮細胞が変性、崩壊され、単一性かつ小型(15〜30μm)で、1〜2μmの封入体を1〜2個有する細胞質内封入体細胞として尿中に出現したものである。
尿路変向術には様々な術式があり、回腸導管術、自己導尿型代用膀胱形成術、排尿型代用膀胱形成術などがあり、いずれも腸の一部を利用するために腸上皮細胞が出現する。
変向術施行直後から初期にかけては円柱上皮と認識できるが、長期経過に伴い変性、崩壊が生じ細胞質内封入体として分類されるようになり、患者情報の管理が重要となる。 また白血球や尿細管上皮と誤認しないことも重要であり、鑑別にプレスコット・ブロディ染色が有効である。
解説 3-1 プレスコット・ブロディ染色
        400倍


白血球は暗紫色に染まる(矢印)

解説:久代 真也(社会保険船橋中央病院)


回答集計
(参加83施設) 施設数
細胞質内封入体細胞 50 60.2
腸上皮細胞 26 31.3
回腸上皮細胞 3 3.6
封入体細胞 1 1.2
移行上皮細胞 1 1.2
尿細管上皮細胞 1 1.2
白血球 1 1.2



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